猫の病気の中で怖い病気として紹介されるのが、「猫エイズ」と「猫白血病」です。
実際、どちらの病気も一度発症してしまったら完治させることができず、免疫力が低下し様々な病気や感染症を併発する恐ろしいものです。
その不治の病のイメージが強いせいか、キャリア持ちの猫がいたら他に猫を飼うことができないと誤解されている飼い主さんも少なくありません。
けど病気について知り、気をつける点を理解すれば不可能じゃないんだよ
そこで今回は、「猫エイズ」「猫白血病」のキャリアの猫がいてもできる多頭飼いのポイントをご紹介していきます。
この記事を見て1頭でも多くの猫が家族に迎い入れられたら幸いです。
- キャリア持ちの猫でも多頭飼いはできるのか?
- 猫エイズ、猫白血病の特徴と共通点
- キャリア持ちの猫と多頭飼いするときの注意点と対策法
目次
猫エイズや猫白血病キャリアの猫を多頭飼いすることは可能?

猫エイズや猫白血病のキャリアであるかどうかは、多頭飼いをする上で大きな問題になってきますよね。
猫エイズと猫白血病それぞれに気をつけるべき点はありますが、
どんな病気か理解しその子に必要な環境を用意してあげれば、
たとえ、猫エイズや猫白血病のキャリアの猫であっても、多頭飼いをすることは不可能ではありません。
しかしどちらの病気も感染するリスクはあるため、飼い主さんが注意することややるべきことは多くなるのは間違いないでしょう。
猫エイズと猫白血病ってどんな病気?

猫エイズ、猫白血病共にウイルス性の感染症で、一度発症すれば治ることはない病気です。
しかし発症したからと言ってすぐに亡くなってしまうような致死率の高い病気ではありません。ここでそれぞれの病気の特徴についてしり知識を深めていきましょう。
①猫エイズの特徴
猫エイズは別名【猫免疫不全ウイルス感染症】です。
猫エイズウイルス(FIV)が元で色々な病気を発症します。
病気の重さごとにステージがあり、発症後の最終段階が「後天性免疫不全症候群(エイズ)」と呼ばれる病状です。
猫エイズウイルスは血液や唾液などの体液に含まれます。唾液が傷口から入ったり、出血を伴う激しい喧嘩をしたりすることにより感染の主な原因です。
そのため以下のどちらかの条件なら、猫エイズキャリアの猫がいても多頭飼いはそれほど難しくはないでしょう。
- 仲良しで喧嘩しない
- 基本仲はあまり良くないが干渉し合わない
他には交尾や、確率は低いですが遺伝によって感染することもあります。
一度感染すると完治することはありませんが、一生発症しないこともある病気です。
https://suguruafi.com/about-cats-aids/
②猫白血病の特徴
猫白血病は別名【猫白血病ウイルス感染症】です。
レトロウイルス科の猫白血病ウイルス(FeLV)に感染することにより、様々なFeLV関連疾患が引き起こされます。
FeLV関連疾患として主なものは貧血、血液疾患、腎臓疾患などです。
特に貧血が重症化することが多く、死に至ることも少なくありません。
免疫力が強い猫の場合は、ウイルスに感染しても初期の段階で排除できる場合や、発症しない「潜伏感染」の状態で落ち着く場合もあります。
免疫力が弱い猫や子猫は、ウイルスが増え続ける「持続感染」の状態になりやすいことが多いです。この状態になると、3~5年以内に亡くなってしまうことも少なくありません。
猫白血病ウイルスは唾液に多く含まれるため、食器の共有やグルーミングによって感染する確率が高まります。
猫白血病は猫エイズに比べて感染経路が多くなるため、以下が感染を防ぐ確実な方法です。
- 出入りする部屋や食器、トイレなどを完全に分ける
- 大きめのケージを用意して外に出す時間帯を分ける
多頭飼いをする場合、仲が良いとグルーミングし合う可能性が出てきます。また、完全に一緒の空間で飼うと、食器やトイレを使い分けしてもらうのはどうしても難しいですよね。
そうすると唾液や排泄物による感染の可能性が出てきてしまうため、生活環境はできれば分けるべきでしょう。
お互いの猫が干渉し合わない関係ならば、様子を見ながら一緒に過ごす時間を作るということは可能です。

猫エイズと猫白血病の共通点

猫エイズと猫白血病にもいくつか共通点があります。
①感染力はそれほど強くなく、空気感染はしない
猫エイズ・猫白血病共に猫の体液中にウイルスがいます。
このウイルスは外界(猫の体の外)では長く生きていられず、感染する場合も傷口に直接体液が入るような場合ですので、同じ空間にいるだけなら感染はしません。
②感染してもすぐには発症しない
ウイルスに感染していても自身の免疫力でウイルスを抑え込んでいる間は何年も発症しません。
しかし一度免疫力が低下し発症すると、免疫力は戻らず様々な感染症や病気を発症するリスクがあります。
③体液にウイルスが多く含まれる
体液にウイルスが多く含まれるため、猫同士の喧嘩が一番感染するリスクがあります。
また、交尾によっても感染するため去勢・避妊手術を行っておくことも大切です。
④猫以外の動物や人間には移らない
猫エイズと猫白血病は猫だけに感染します。
そのため感染経路が他の猫からであるというのは明らかで、野良猫からの感染を防ぐためには室内飼いを徹底する必要があります。
⑤血液検査で結果が分かる
病院で検査してもらえば、その日のうちに結果が分かります。
感染時期や年齢によって、検査結果が正確に出ないケースもあるため、感染の疑いがある子は複数回検査を知ることをオススメします。
⑥初期症状がくしゃみや発熱、鼻水など風邪に似ている
どちらの病気も猫の免疫力を低下させるため、健康な子だと問題ないような病原菌にも日和見感染し、風邪のような症状を引き起こします。
⑦様々な病気を併発する可能性が高い
免疫力が低下し発症すると、「エイズ関連症候群」や「FeLV関連疾患」といった感染症や病気を併発する可能性が高くなります。
⑧ワクチン接種は有効だが、100%予防できるわけではない
猫エイズ・猫白血病ともにそれぞれワクチンはありますが、
ほかのワクチンと同じで絶対に感染しないわけではありません。
あくまで、ほかの猫と接触した際に感染のリスクを下げるための保険と考えてください。
⑨どちらも発症を遅らせることができる
猫エイズ・猫白血病共に一生涯発症しない猫も存在します。
そのために免疫力の低下を防ぐよう努力することで、発症を遅らせることが可能です。
多頭飼いで猫エイズや猫白血病の猫がいる場合にできる対策法

①猫エイズキャリアの猫がいる場合
猫エイズは唾液で感染しますが、感染力はさほど強くなく、唾液が傷口に直接入るような場合でない限り感染の可能性は低いです。
そのため他の猫に感染させないために予防を徹底したいようであれば以下の点に気をつけてください。
- お互いの猫の体に傷がないかどうかチェックする
- 使う食器を分ける
- 目が届かないときには感染している猫をケージや別の部屋に入れておく
- 感染していない猫にワクチン接種を行う
②猫白血病キャリアの猫がいる場合
猫白血病も猫の体液にウイルスが存在しますので、基本的には住む環境を分けるのが一番の対策です。
他にも以下の点に注意してください。
- ご飯や水、使う食器、トイレ、おもちゃを分ける
- 感染した猫や使った食器を触った後には、手洗いや消毒をする
- 感染していない猫にワクチン接種を行う
多頭飼いで陰性の猫にこんな症状が出たら要注意

もし猫エイズや猫白血病キャリアの猫を一緒に飼っていて、ほかの猫に風邪のような症状が出たら注意して下さい。
猫エイズと猫白血病は、ともに初期症状が発熱やくしゃみなど風邪の症状によく似ています。
加えて元気がないなど、倦怠感が続くようであれば一度病院を受診してみてください。
そのときに猫エイズや猫白血病キャリアの猫を一緒に飼っていることをあらかじめ伝えておくと、話がスムーズに進みます。
まとめ:猫エイズ・猫白血病と多頭飼いは難しい?

猫エイズと猫白血病はそれぞれ特徴が違うため、多頭飼いするときにも注意点が異なります。
猫エイズ
→「出血を伴う喧嘩」に特に気をつける
- 感染しても一生発症しないこともある
- 血液を介して感染する可能性が高い
猫白血病
→「出血を伴う喧嘩」の他、「グルーミングや食器、トイレの共有による感染」に気をつける
- 免疫力の強い猫の場合、感染してもウイルスを排除できることもある
- 血液の他、唾液や排泄物で感染する可能性がある
もし猫ちゃんを飼っていて新しい猫ちゃんの受け入れを検討している場合は、このような感染症のことをよく理解してからの受け入れをおすすめします。
逆に現在キャリア持ちの猫ちゃんを飼っている場合は、同じキャリアの猫ちゃんを受け入れるという方法もありますよ。
キャリア持ちの猫ちゃんも、発症を予防して幸せな一生を送れる可能性は充分にあります。ぜひ他の猫ちゃんと同じようにかわいがってあげてくださいね。