こんにちは!管理人のクラゲです。
わんちゃんを飼っている方のお悩みで多いのは「皮膚トラブル」。
フケが出たり、ぶつぶつができたり、時にはかゆくてかゆくて辛抱できず引っ掻いてしまい出血することもあります。
そういったとき、動物病院で薬を処方してもらえば手っ取り早く治すことができるでしょう。しかし薬で一時的に良くなっても、再発してしまうことも多いです。
皮膚病と言っても原因は様々です。
感染症、アレルギー、体質など、原因によっては動物病院で検査をしなければわからないものもあります。自分だけで決めず、獣医師の判断を仰具のも大切です。
まずは皮膚病とその症状について知ろう!
皮膚にはバリアー機能があります。このバリアー機能が角層の内側の水分の蒸散を防ぎ、外界からの異物(アレルゲン・細菌など)の侵入を防御する役割を担っています。
皮膚病とは、何らかの原因によって皮膚の構造が崩れ皮膚バリアー機能が低下した状態です。皮膚のバリアー機能が低下すると、外からの異物に抵抗できなくなり感染やアレルギー反応を起こし。皮膚に赤みや発疹、かゆみをおこします。
また皮膚病は治療しても治りが遅く再発しやすいので、動物病院へかかる原因のトップと言われています。
画像引用:Let’s Study! 犬の病気
わんちゃんは皮膚に違和感がると舐めたり噛んだりして、違和感をとろうとします。そして、その行動が皮膚病をさらに広げたり二次的に感染症を起こす原因となります。
《症状》
- 赤み
- 発疹(ブツブツなどのできもの)
- 脱毛
- フケ
- かさぶた
- 色素沈着
- ベタベタ
- 乾燥肌
- におい
《行動変化》
- よく体をかく
- 同じところを舐める
- 足先を噛んでいる
- 抜け毛がおおい
- 体をこすりつけている
- 元気がない
- 食欲がない
知ってる?皮膚病の種類とその原因
皮膚病は大きく3つのグループに分類することができます。
- 感染性皮膚炎
- アレルギー性皮膚炎
- ①②以外の皮膚炎
しかし、②の「アレルギー性の皮膚炎」であっても引っ掻いたり噛んだりして傷がつきそこから細菌が感染して、①の「感染性皮膚炎」も発症する混合型の皮膚炎もあります。
①感染性皮膚炎
細菌、外部寄生虫、カビ、真菌に感染することで発症する皮膚病です。もともと犬の体に常在している細菌などが何らかの理由で増殖し発症することもあります。
通常、皮膚のバリアー機能や免疫機能が正常に働いている場合は発症しにくいです。
病名 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
膿皮症 | ブドウ球菌 | 強い痒みを伴う急性の皮膚炎。 最も多いのは外耳炎、指の間も。 |
ニキビダニ症 | ニキビダニ | 皮膚の毛包や脂腺に常在しているダニが免疫低下などにより異常に繁殖。 |
マラセチア皮膚炎 | マラセチア酵母菌 | 激しい痒み、皮脂が大量に出る脂漏症を伴う事が多い。独特なにおいがある。 |
皮膚糸状菌症 | 白癬菌(カビ) | フケを出し円形に脱毛する。人にも感染する。 かゆみは二次的に感染した場合に起こる |
②アレルギー性皮膚炎
抗原に対する犬の免疫系が過剰に反応しておこる皮膚病。
体の外にある物のほとんどすべてがアレルギーを起こす抗原(アレルゲン)になりうる。
病名 | 原因 | 特徴 |
---|---|---|
アトピー性 皮膚炎 | ハウスダスト・花粉・カビなどの抗原 | アレルギーの70%を占める炎症。強い痒みを伴う。 好発年齢:1歳~3歳 |
ノミアレルギー性皮膚炎 | ノミの唾液 | 刺された場所に関係なく下半身全域を中心に症状が現れる。 |
接触性皮膚炎 | 生活環境の中の抗原 | 10%程度を占める。接触部位の炎症、痒み、湿疹。 |
食物アレルギー性皮膚炎 | 食べ物の中のタンパク質 | 15%程度を占める。痒み、炎症、フケなど皮膚症状に加え、下痢、嘔吐などの消化器症状もおこる。 |
③「①、②」以外の皮膚炎
ストレスや自己免疫、腫瘍など感染や外部抗原によるアレルギー反応以外の皮膚炎。
病名 | 原因 | 主な症状 |
---|---|---|
先天性 | 脂性、フケ症、汗症 | 体質の異常で、全身にわたって起こる。 |
内分泌性 | ホルモンの分泌過剰 | 副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモンにより脱毛。 |
腫瘍 | ガン | できものが局所的、全身性におよぶ(リンパ種など)。 |
免疫介在性 | 自己免疫反応 | 自分自身の身体を抗原として攻撃する。 |
精神性 | 何らかのストレス | 湿疹、皮膚に直接の原因がないのに痒がる。 舐めやすいところだけをしきりに舐めるなど。 |
皮膚病を悪化させないためにできるスキンケア法
病院で検査と診察を受けるのが一番早い治療方法ですが、諸事情で動物病院にいけない場合もあると思います。
そんな時、病院に行くまでの間で犬の症状(特にかゆみ)を抑えるためにできることをご紹介しまう。
Ⅰ.お風呂(シャンプー)に入れる
荒れている肌の状態を元に戻すためにシャンプーをすることも効果があります。
犬用のシャンプーには”一般洗浄用・美容用シャンプー”と”薬用シャンプー”の2種類があります。
さらに薬用シャンプーには大きく分けて以下の4つのタイプがあります。
- 保湿性シャンプー
- 抗脂漏性シャンプー
- 抗菌性シャンプー
- 止痒(しよう)性シャンプー
この薬用シャンプーを使うことで、肌の荒れや赤み、かゆみを治療することができます。
それぞれの効果と適応は、以下でご説明します。
https://suguruafi.com/inunohifuhausui/
https://suguruafi.com/inunoofuronohairikata/
①保湿性シャンプー
皮膚がカサカサして乾燥している時に使う、保湿するためのシャンプーです。(洗浄成分が入っていないものをコンディショナーと言います。)
使用頻度:犬の皮膚の状態を見ながら月に1~2回。
②抗脂漏性シャンプー
皮膚がベタベタしたりフケが出ている場合に使うシャンプーです。角質や脂漏を溶かし皮膚のターンオーバーを正常に戻す効果があります。
細菌や真菌、アレルギーなどで皮膚のターンオーバーが異常に早くなり、全身の皮脂腺の分泌が過剰になったり、皮膚の角化が異常に亢進した状態を「脂漏症」といいます。
使用頻度は週に2回。2~4週間続けます。
また遺伝的にかかりやすい犬種も多いです。
アメリカン・コッカー・スパニエル | バセット・ハウンド |
イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル | シーズー |
ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア | ウエスティー |
ビーグル | ドーベルマン |
③抗菌性シャンプー
細菌や真菌(マラセチア)が増えている場合に使用するシャンプーです。細菌や真菌の数を減らし増殖を抑える効果があります。
体表で細菌が増えているため、皮膚に発疹(ブツブツ)、フケ、脱毛、かゆみがあります。さらに真菌が増殖するとベタベタや皮膚の肥厚、赤み、独特のにおい(マラセチア臭)が出てきます。
使用頻度は週に1~2回。月に2回は使用する。
④止痒(しよう)性シャンプー
かゆみのある場合に使うシャンプーです。
かゆみを抑え、かゆい箇所を噛んだり引っ掻いたりしてできた傷に、二次的に細菌が感染することを防ぐことができます。
使用頻度は週に2回以上。2~4週間使用します。
Ⅱ.保湿する
皮膚のかゆみの原因の一つに乾燥があります。
特に冬は空気が乾燥し皮脂や汗があまり出ないため、皮膚が乾燥しがちです。
乾燥肌だと少しの刺激で肌が荒れ、外からアレルギーの原因(アレルゲン、抗原)が皮膚から侵入し、かゆみの原因であるヒスタミンを出すアレルギー反応を起こしますので、
化粧水やケアクリームを使い、皮膚のかゆみを予防しましょう。
Ⅲ.皮膚にいい食事をとる
健康な皮膚を維持し続けるために、食事から摂取した栄養の約30%が使われています。
逆を言えば、バランスの取れていない食事では”健康な皮膚”を作ることはできません。
犬の皮膚は人の1/3くらいの厚さしかありません。
そのため、皮膚に刺激があるとすぐにかゆみや赤みなどの皮膚症状が出ます。
また犬の皮膚のターンオーバーは約21日かかります。
一度皮膚が荒れると治るまでに最低1か月ほどはかかってしまいます。
そして、犬にも食事によるアレルギー性の皮膚炎があります。
愛犬の肌荒れがどうしても治らないときは食事を変更する必要があるかもしれません。
Ⅳ.適度なブラッシング
適度なブラッシングは皮膚の血行の巡りをよくし、皮膚の健康を守ることができます。
またブラッシングをすることで、早期にノミやダニの寄生やフケの発生に気づくことができます。
Ⅴ.ノミ・ダニとり
痒みや肌荒れの原因がノミやダニなどの外部寄生虫である場合もあります。
本来であれば犬の体にノミやダニがつかないように予防するのがベストですが、ついてしまったのならブラシやダニ取り用のピンセットで寄生虫を落としてしまいましょう。
Ⅵ.皮膚の殺菌消毒
犬の皮膚を殺菌消毒するのに、うがい薬である「イソジン」がよく使われます。
イソジンは子どもが口に入れてうがいすることを前提にしている商品ですので、犬が舐めたり飲んでしまっても大きな問題にならないためよく使われます。
また刺激も強くないので、わんちゃんのような皮膚の薄い動物でも問題なく使うことができます。
犬の皮膚に赤みやかゆみがある場合は一度試してみるのもいいかもしれません。
Ⅶ.動物用軟膏
かゆみや肌荒れがひどい場合使うこともありますが、原因が細菌や真菌感染でなかった場合効果はありません。
また使い方を間違えたり、中途半端に使っていると軟膏に含まれる薬用成分に耐性がある耐性菌ができてしまう可能性もありますので、軟膏を使う場合は一度動物病院で検査を受けることを推奨します。
まとめ:動物病院での治療だけじゃない⁉自宅でもできる犬のスキンケア法
かゆみと言っても原因はいろいろ、対処法も様々です。
スキンケアの基本は、肌を乾燥させない。刺激しない。保湿する。バランスよい食事をする。だよ!日々の生活から気を付けてみよ~
愛犬の皮膚が悪くなる前に、シャンプーやブラッシングで肌荒れ予防をしてください。
それでも皮膚が荒れてしまうときは、イソジンで消毒したり肌の乾燥を止めるために化粧水や保湿クリームを使ってみてください。
もし季節関係なくかゆみや赤み、発疹が出る場合は食事に問題があるのかも知れません。
そして一度肌が荒れると、正常な皮膚ができるまでに最低約21日以上かかってしまします。肌荒れは治るまでに時間がかかることを覚えておきましょう。
いずれにしろ、素人考えで対処するよりも一度、動物病院に受診することをおすすめします。