「猫白血病」という病名は、猫飼いさんなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
よくFeLV(猫白血病ウイルス感染症)とFIV(猫免疫不全ウイルス感染症)の2つが猫の怖い病気として挙げられますよね。一度発症すると治ることのない病気。それが猫白血病です。
しかし、FeLVに感染しても発症せず、寿命で亡くなった猫ちゃんも多くいることもご存知ですか?
飼い主さんの協力があれば、かわいい愛猫を苦しい思いをさせずに済むかもしれません。
- 猫白血病について知りたい方
- 猫白血病に感染させないためにできることを知りたい方
- 愛猫が猫白血病に感染しているが発症させないためにできることを知りたい方
猫白血病はどんな病気?
猫白血病とは、レトロウイルス科に属する猫白血病ウイルス(FeLV)によって引き起こされる病気で、一般的に猫白血病ウイルス感染症と呼ばれます。
その名前の通り、猫に白血病を発症させますが多くの場合は白血病にならず、免疫力の低下を起こし、血液疾患や腎臓疾患、腫瘍などほかの様々な病気の原因となります。
猫白血病ウイルス(FeLV)は猫以外の動物や人間には感染しません。その感染力も弱いため子猫や若い猫など、免疫力が低下した猫が掛かりやすいと言われています。
猫白血病に感染するとどんな症状が出る?
猫白血病の初期症状は発熱や鼻水などで風邪に似ていると言われており、症状が進むと口内炎・体重減少・下痢・貧血など様々な症状が表れます。
これは免疫力の低下が原因して病気や傷が治りにくくなるためで症状が悪化しないようにする必要があります。
特に貧血の症状が重篤化して、最悪の場合死に至るケースが多いです。
また、FeLVに感染し自身の免疫でウイルスを排除できなかった場合、骨髄内でウイルスが増殖する「持続感染」の状態になります。この場合、多くが3年以内に免疫不全やリンパ腫を起こしFeLV関連疾患を発症してしまいます。
猫白血病は不治の病なの?
猫白血病に感染すると基本的に完治することはありません。
ですが、免疫が強い猫の場合、ウイルスが骨髄内で増えずウイルスを排除できる場合もあります。
しかし多くの場合、ウイルスの増殖は抑えているが完全に排除できず症状も出ない「潜伏感染」と呼ばれる状態ですので、免疫力が低下することが引き金となり持続感染の状態になることがあります。
そのため、猫白血病を発症させないためには、免疫力が低下しないように生活させることが重要になります。
猫白血病はどこから感染する?
猫白血病は感染力がそれほど強くなく、空気感染はしません。
主な感染経路は感染猫の唾液で、食器を共有したりグルーミングし合ったりすると感染する恐れがあります。
その他にも尿や涙・血液にもウイルスが含まれるため、流血や噛みあうほどの喧嘩をした場合にも感染する確率が高いようです。
また、母猫が感染している場合は流産してしまったり、生まれても育たなかったりするケースが多く、胎盤や母乳を介して猫白血病が子猫に感染してしまう可能性があります。
猫白血病の検査方法はどんなもの?
猫白血病に感染しているかどうかは、動物病院で血液検査によって調べることができます。
- FeLV抗原/FIV抗体同時検査用キット
- FeLV抗原検査キット
を使用すれば10~15分ほどで検査結果はわかります。
ただ感染直後はキットに反応するほど十分にウイルス抗原が増えていないため、見かけ上「陰性」なります。そのため4週間に再検査をする必要があります。
また、感染していた場合でも、検査キットで分かるのは陽性か陰性かという結果のみです。陽性の場合どれくらい症状が進行しているかまでは分かりませんので、病院で相談しましょう。
また、1回陽性が出た場合で自身の免疫力でウイルスを排除できる可能性があるため、再検査をした方がいいでしょう。
愛猫のためにできる猫白血病対策
猫白血病に感染している場合と感染させない場合でできる対策は変わってきます。
ここで
- 猫白血病に感染している場合にできること
- 猫白血病に感染する前にできる予防法
- 多頭飼いでFeLV陽性と陰性の子がいる場合にできること
についてそれぞれ見ていきましょう。
①猫白血病に感染している場合にできること
ウイルスそのものを取り除く治療法はありません。
猫白血病に感染していることが分かった場合、抗生物質の投与や猫の免疫力を上げるための「インターフェロン製剤」を用いた治療を行っていくことになります。
持続感染の場合は、猫白血病そのものというよりはそれぞれの症状に合わせた治療を行っていくのがメインになるでしょう。
自分でご飯を食べるのが困難になる場合は食事療法、貧血の症状がひどい場合には輸血などを行うこともあります。
猫白血病に感染すると病気が治りにくいため、定期的に健診を受けるなど症状の進行に気をつけましょう。また、猫にとってストレスを掛けない環境を心掛けることも大切です。
②猫白血病に感染する前にできる予防法
猫白血病の予防にはワクチン接種が有効ですが、100%予防できるわけではないのが現状です。
そのため、「他の感染している猫との接触を避ける」というのが一番の予防方法になります。野良猫も猫白血病に感染している可能性があるため、外には出さずに室内飼いを徹底しましょう。
外に出す場合も、ハーネスやリードをつけて一緒に散歩してあげると猫ちゃんとコミュニケーションが取れるのでオススメですよ
③多頭飼いでFeLV陽性と陰性の子がいる場合にできること
多頭飼いで陽性の猫がいる場合は、住み分けができればベストです。
食器や水などは必ず分けて、使った後は消毒します。トイレやおもちゃも可能であれば違うものを用意しましょう。
飼い主さん自身も、猫や食器などに触れた後には手を洗うのを心掛けることが大切です。
もし猫同士でケンカをしてしまう場合は、避妊・去勢するのも一つの手段です。
まとめ:猫白血病はどんな病気?愛猫のためにできること
今回は猫白血病についてお話していきましたがいかがでしたか?
猫白血病は症状が進行するととても恐ろしい病気です。
しかし感染した場合でも症状を抑える治療方法はありますので、なるべく早期発見を心掛けましょう。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 猫白血病はFeLV(猫白血病ウイルス)によって感染する。
- FeLVの感染力はそれほど強くなく、簡単に死滅する。
- FeLVは感染猫の体液(唾液、尿、血液、糞便)にいる。
- FeLVは骨髄内で増殖しようとするが、猫の免疫力が強い場合はウイルスが排除される。
- 免疫力が負けて骨髄内でウイルスが増殖することを「持続感染」、
ウイルスと免疫力が釣り合っている場合は「潜伏感染」という。 - 持続感染になると、3年以内にリンパ腫や免疫不全を起こし危険な状態になる。
- FeLVに感染しないためにはワクチン接種と感染猫との接触をさせる。
- FeLV陽性の猫は免疫力を低下させないことが重要
予防と対策をしっかり行い、猫ちゃんと楽しい日々を過ごしましょう!