こんにちは!管理人のクラゲです。
24時間テレビの「進め大野丸!釣って潜って学ぶ海洋問題」でマイクロプラスチックの問題が取り上げられていましたね。
実際、クジラやイルカがゴミ袋など大きめのプラスチックごみを飲み込んだことで死んでしまったというニュースが取り上げられていますが、
今回はそのような大きめのプラスチックごみではなく、目に見えるかどうかというサイズの「マイクロプラスチックごみ」についてフォーカスがあてられており多くの人の関心を集めていました。
目に見えないような小さなゴミ。食べ続けていたら体に悪いのは明白です。
現時点で多くの魚がマイクロプラスチックを誤食していると考えられますが、人が食べる分には問題ないのでしょうか?
マイクロプラスチックとは?
石油を原材料とするプラスチックは世界中で多くの製品や製品を包む容器などに使用されています。プラスチックは自然分解されずらく、過去のプラスチックがなくなるまでに千年単位の時間が必要となるといわれており、
このような使用済みプラスチックが何らかの原因で海に行きつくと、紫外線や波などの影響を受けて徐々に劣化し細かくなっていきます。
そして最終的に5mm以下のサイズの微小なプラスチック片になったものを「マイクロプラスチック」というのです。
5mm以下と定義されていますが、中には㎛(マイクロメートル)や㎚(ナノメートル)のような電子顕微鏡で見ないと確認できないようなサイズのものもあります。
このようなマイクロプラスチックが近年問題になってきており、特に海洋生物が摂取することで生物濃縮が起こり、魚を食べる鳥や人の健康に影響すると考えられています。
マイクロプラスチックができる原因は?
マイクロプラスチックはその発生原因から以下の2種類に分類されます。
- 1次マイクロプラスチック
- 2次マイクロプラスチック
1次マイクロプラスチック
1次マイクロプラスチックとは、「もともと小さく作られていたプラスチック」のことを指します。
歯磨き粉の中の研磨剤(マイクロビーズ)やレジンペット(直径数ミリのプラスチック粒でプラスチック製品になる未加工の原料)が1次マイクロプラスチックにあたります。
下水処理過程でキャッチしきれない粒子が海に流出することが主な原因と考えれれています。
2次マイクロプラスチック
2次マイクロプラスチックとは、「もともと大きなものだったが劣化・摩耗して細かくなったプラスチック」です。
マイクロプラスチックの問題でよく取り上げられるのが、この2次マイクロプラスチックです。
これには1次マイクロプラスチックを除いたすべてのプラスチック製品が該当し、多くが海に流れ出たペットボトルやビニール袋が紫外線や波の影響などを受けて徐々に摩耗することで発生します。
番組内でも取り上げられていましたが、ゴミを分別しないでいると、ゴミを埋め立てに使ったときに多くのプラスチックが海に流れ出てしまい、マイクロプラスチックの原因になってしまいます。
海に出てしまったマイクロプラスチック対策
番組内では大野くんが「ゴミの分別はしっかりしましょう」とまとめていましたが、
すでに海に出てしまったプラスチックごみを回収・処理することは非常に難しいため、新たなプラスチックごみを増やさないことが、マイクロプラスチック対策の原則となります。
そのためには、
- 使い捨てプラスチック容器や包装を減らす
- 使用済みプラスチックをより効率的にリサイクルする
- プラスチック製品の代わりとなるバイオプラスチックの実用化
- 技術面の向上と並行して人の意識改革
が必要です。
各国でのマイクロプラスチックの対策
マイクロプラスチックの対策として、各国で使い捨てプラスチック製品(レジ袋、食品容器、ストロー、カトラリー等)への対策が行われています。
画像引用:環境省
なぜマイクロプラスチックが悪影響をおこすのか?
マイクロプラスチックは非常に頑丈で自然環境ではなかなか分解されません。
そのため多くの海洋生物が誤食してしまい、生体内にどんどんたまってしまうほかに、食物連鎖によって生物濃縮を起こしてしまい、海洋生物に以下の3つの影響が起こると考えられています。
- 消化器系に物理的閉塞または損傷
- プラスチック成分の内臓への浸出
- 吸収された化学物質の濃縮
マイクロプラスチックはそのサイズの小ささから、プランクトンのような小さな生物に誤食されてしまうので、物理的に海洋生物の消化管を詰まらせ臓器を傷つけてしまいます。
また石油から作られているプラスチックは親油性のため、汚染物質(農薬や殺虫剤、PCBなど)を吸着しやすい性質をもち、マイクロプラスチックになったとしてもその性質は残っています。
仮に海に流れ出た汚染物質がマイクロプラスチックに吸着してしまうと、海を漂っている間に多くの海洋生物に悪影響が出ることが予想されます。
魚や海鳥はもちろん、人へも健康への影響が懸念されています。
魚を食べても大丈夫?マイクロプラスチックの健康への影響
大きいビニール袋などのプラスチックごみと違い、現時点で魚の胃にマイクロプラスチックがあるからと言って、どれだけ魚の健康に影響があるかはよくわかっていません。
多くは糞と一緒に排泄されると考えられていますが、マイクロプラスチックの中でも特にサイズの小さいものは血流にのり肝臓に移行するという報告も上がってきています。
参考文献
- https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0269749117319024
- https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0141113615300039
これが本当であれば、血管の通る臓器や筋肉にはマイクロプラスチックがあると考えられるので、人が誤食してしまう可能性は大いにあります。
しかし現時点で、
魚の健康にどう影響しているのかわかっていないのと同様に、人への健康にもどう影響するかわかっていません。
魚を食べるとき、マイクロプラスチックはどうやって処理すればいいの?
マイクロプラスチックの多くは魚の消化器にあると考えられます。
もしマイクロプラスチックを処理したいと考えておられるのであれば、魚のワタを取り除き十分に水で洗い流すのが良いでしょう。
まとめ:魚を食べるときマイクロプラスチックはどう処理すればいい?
24時間テレビの「進め大野丸!釣って潜って学ぶ海洋問題」でマイクロプラスチックが取り上げられ、魚を食べても大丈夫なのか?と心配になられた方も多いと思います。
しかし、現時点でマイクロプラスチックはサンゴやプランクトンなどの小さな海洋生物には影響していることはわかっていますが、魚や海鳥、人への健康面にどう影響するかはよくわかっていません。
もし魚を食べるときに心配という方は、マイクロプラスチックがあると思われる魚のワタを部分を避け、調理前に良く水ですすぐといいでしょう。