愛犬と遊んでいたら思いのほか強く噛まれてしまった。
子どもが猫にちょっかいをかけたときに引っかかれた・噛まれた。
そんなとき、
なんてことありますよね。
まして、「明日も仕事だし絆創膏貼っておけばいいや」という方も少なくないでしょう。
ですが、その考えは大変危険です!!
例え飼い犬・猫であっても病気を移される可能性はあり、適当な処置だけして後から高熱や患部から膿が出て苦しい思いをすることだってあります。
特に免疫力の低いor落ちている子供やご老人は注意が必要です。
この記事では、「犬や猫に噛まれてしまったときに自宅でできる応急処置」についてまとめました。
- 犬や猫に噛まれてしまったが病院の診察時間外でどうしようか迷っている方
- 犬や猫に噛まれたときにできる応急処置について知りたい方
- 咬傷での応急処置の注意点を知りたい方
犬や猫に噛まれてしまったときに自宅でできる応急処置
実際に犬や猫に噛まれてしまったときにできる応急処置は、その名の通り病院に行くまでにできる繋ぎ(手当て)です。
最終的に熱や痛みに苦しまないために病院で診てもらう必要があります。
応急手当と言ってもご自宅でできることは意外と少なく、
- 傷口を流水で洗う
- 出血しているなら止血をする
この2つくらいしかできることはありません。
①傷口を流水で洗う
動物による咬傷では、動物の口腔内(口の中)にいる雑菌が体の内部まで入り込んでしまうため、雑菌を少しでも減らすために流水で5分以上かけて十分に洗いましょう。
②止血をする
動物による咬傷で出血があるのでしたらハンカチやタオルなどで圧迫止血をしてください。
小型犬や猫といった体の小さな動物であれば、傷口の洗浄中に出血は止まりますが、大型犬の咬傷や噛まれたのが子どもであった場合は思った以上に出血すると思います。
そんなときは、噛まれた箇所を圧迫し心臓よりも高い位置にもっていけば止血が早まります。
③応急手当のポイントとNG行為
応急手当はあくまで病院で処置してもらうまでの”繋ぎ”です。どれだけ自宅で手当てしても最終的にはきちんと病院で診察・処置をしてもらいましょう。
応急手当のポイントとNG行為は以下の通りです。
- 傷口の異物(ゴミや折れた歯)・雑菌を流水でできる限り減らす。
- 出血を止める
- 傷口に直接消毒薬をつけない
- 傷口を絆創膏などでふさがない
- 抗生剤の軟膏は効果がないこともある
- 傷口からでる滲出液(しんしゅつえき)を貯めこまない
- 手当てが済んだらできる限り早く病院に行く
傷口で細菌が増殖するリスクを減らすために、傷口を十分に洗い、ゴミと異物を取り除きます。その後、血が止まっていないのであれば止血をします。
普通の擦り傷や切り傷であれば、洗浄の後に、絆創膏を張ったり消毒をしたりすると思いますが、動物による咬傷であれば、傷口をふさぐ絆創膏はかえって症状を悪化させる原因にもなりかねません。
特に傷口をふさいで、傷口からにじみ出てくる透明な液体(滲出液)を体の中に貯めこんでしまうのは危険です。
また、傷口の消毒は消毒薬自体が健康な皮膚の細胞自体を破壊するだけでなく、皮膚を病原菌から守ってくれている常在菌まで殺してしまうためオススメできません。
動物による咬傷は、小さいが深い傷である場合がほとんどですので、流水で洗ったとしても傷の深部まで十分に洗えていない可能性があります。
また、雑菌がいる状態で絆創膏などで傷口をふさいでしまうと、滲出液が傷の奥に溜まり雑菌が繁殖してしまう原因になりかねません。
抗生剤の軟膏は皮膚表面だけの傷であれば効果はありますが、咬傷は傷が深いため効果が薄いことがあります。
雑菌が増殖すると、傷口近くのリンパが腫れたり熱が出てきます。
また噛んできた動物が感染症を持っていた場合、それに感染するリスクもありますので、早め早めに病院に行くことが重要となります。
動物に噛まれたときに感染する可能性のある病気は?
動物の咬傷で感染する可能性のある病気が以下の4つです。
- 破傷風
- 狂犬病
- パスツレラ症
- 猫ひっかき病
①破傷風
破傷風とは、Clostridium tetani と呼ばれる破傷風菌が作り出す神経毒素によって強直性痙攣(きょうちょくせいけいれん)を引き起こす感染症です。
通常、破傷風菌は土壌中に広く存在しているため、咬傷だけでなく外傷全般に破傷風のリスクがあります。
破傷風菌に感染後、3~21日間の潜伏期(感染してから症状が出るまでの期間)があり、その後、
- 局所での神経症状(痙笑、開口障害、嚥下困難など)
- 全身での神経症状(呼吸困難、後弓反張など)
に移行します。
重症になると、呼吸筋がマヒして酸素を吸うことができず窒息することがあります。
②狂犬病
狂犬病は、感染し発症すると神経症状が起こり、現在の医療技術でもほぼ100%の方が亡くなる恐ろしいウイルス感染症です。
水を飲む時、その刺激で咽喉頭や全身の痙縮が起こり苦痛で水が飲めないことから「恐水症」とも呼ばれています。
日本国内では1922年に家畜伝染病予防法、1950年に狂犬病予防法が制定されてから、犬のワクチン接種が義務づけられ、多くの方の努力で1956年の発生を最後に現在まで日本国内での狂犬病の発生はありません。
しかし、日本を取り巻く国々では今現在も狂犬病が野生動物の間でサイクルがまわっているため、日本に入れないためにも港や空港での検疫が重要な感染症の1つです。
もし海外へ旅行する予定があるなら、事前にワクチン接種をしておきましょう。
③パスツレラ症
パスツレラ症とは、犬や猫の口腔内常在菌(パスツレラ菌)による感染症で、噛まれたり引っかかれた後30~2日の間に皮膚症状と呼吸器症状が出てきます。
皮膚症状では、傷のできたところに激痛、発赤、腫脹を起こす。免疫不全のある方は重症化し、骨髄炎、敗血症となることもある。
呼吸器症状では、軽い風邪の様な症状から重篤な肺炎までさまざまで、主に喘息、結核、悪性腫瘍等の疾患を持っている方は繰り返し発症しやすい。
常在菌であるため予防することは難しいが、免疫力の低下している方は、ペットとの過剰な接触を控えることがパスツレラ症の予防になります。
④猫ひっかき病
猫ひっかき病はバルトネラ菌(Bartonella henselae)という細菌を原因とする感染症です。
バルトネラ菌はノミの吸血で伝播し、犬や猫に感染します。そのバルトネラ菌に感染した犬や猫に噛まれたり引っかかれることで人にも感染します。
犬や猫では常在菌であるため無症状ですが、人が感染した場合、数日から2週間ほどの潜伏期間の後、傷口の化膿や発熱、リンパ節の腫れを起こします。
動物に噛まれたときに受診するときは何科に行けばいいの?
飼い犬・飼い猫であっても、噛まれた場合は外科もしくは総合外来を受診しましょう。
特に野生動物や野良猫・野良犬では、どんな病気を持っているかわかりません。噛まれてしまった場合は様々な科がある総合病院に行けば、傷口や感染予防など適切な処置をしてくれます。
もし出血が止まらない場合は、迷わず救急に連絡を取ってください。
まとめ:犬や猫に噛まれてしまった!病院に行くまでにできる応急処置と注意点
愛犬愛猫であっても、口の中には雑菌がいっぱい住み着いています。
そんな口で穴が開くくらい噛まれてしまったらどうなるか想像に難しくないと思います。
動物による咬傷では傷口が小さくとも、深い傷である場合が多く、自宅で適当に処置していたら後から腫れたり痛みが出てくることも少なくありません。
そのため動物による咬傷では、早めに病院に行くことが重要です。
自宅で応急手当する場合は、なるべく多くの雑菌を減らすために流水で5分以上すすぐことが必要です。出血もあるなら清潔なハンカチやガーゼなどで圧迫止血を行いましょう。