犬の飼育知識

【犬の肛門腺の絞り方】頻度や色・においを解説!破裂する前にたまったサインを見つけよう

肛門腺って知っていますか?

犬を含めた様々な動物が持っている分泌器官で、主に犬同士のコミュニケーションに使われているのですが、結構においのキツイ分泌物を出します

動物病院やトリミングサロンで絞ってもらった飼い主さんも多いと思いますが、ご自宅で飼い主さんの手で絞ってあげることも可能です。

ぜひ一度、ご自慢のわんちゃんの肛門腺の処理をしてあげて下さい。

この記事でわかること
  • 肛門腺について(色・ニオイ・役割など)
  • 肛門腺の絞り方
  • 肛門腺を絞らなかった場合
  • 肛門周囲に起こる病気

肛門腺絞りとは?

一般的に「肛門腺絞り」というと、肛門嚢という袋にたまっている分泌物を絞り出すことを言います。

肛門腺絞りはすべての犬に必要ではなく、
あくまで肛門腺がたまりやすい、
排泄しにくい犬に対して、ケアとして行います。

自宅でできる肛門腺の絞り方 

こちらはトリマーさんが肛門腺のしぼり方・注意点を説明してくれている動画です。

肛門腺を絞り方・ポイントは以下の通りです。

  1. 絞るためのティッシュ・ウェットティッシュ、捨てる用のビニール袋を準備します。(必要であれば、ゴム手袋も)
  2. 片手で尻尾の付け根をつかみ、肛門の形が「縦」に伸びるように持ちあげる。
  3. 肛門周囲の4時・8時方向に親指と人差し指をあてがう。
  4. その位置のまま、お尻の方に指を押し込み肛門嚢のある位置を揉む
  5. 2本の指で肛門の下の方から優しくゆっくりと押し上げる
  6. 出てきた分泌物をティッシュなどできれいにふき取る(飛び散り注意)
  7. 必要に応じてお尻をシャワーなどで洗うもしくはペット用消臭スプレーを使う

はじめのうちはお尻(肛門周り)を触られることを嫌がると思います。
無理やりやるのではなく爪切りと同じで、少しずつ慣らしてあげてください。

また1人でやるのが難しいのなら2人で、たまっているかどうかわからない場合は動物病院で確認するなど臨機応変に対応しましょう。

①肛門腺絞りの頻度

肛門腺のたまり具合は個体差がありますが、月に1回の目安で絞ってあげましょう。
たまりやすい犬の場合2週間に1回でもいいかもしれません。

ご自身でわからない場合は、気軽に近くの動物病院、もしくはトリミングの時に絞ってもらうことをオススメします。

その病院やトリミングサロンで変わってきますが、
多くの場合、トリミングのついでの時は無料。動物病院で処置してもらうと500円ほどかかると思います。

②肛門腺がたまったサイン

肛門腺がたまると、犬は不快感を覚え以下のようなサインを出します。

  1. お尻を地面にこすりつける
  2. 肛門をなめる
  3. 自分の尻尾を追いかける
  4. 肛門周りを噛む
  5. ウンチをするのに時間がかかる

このようなサインを見つけたら、肛門嚢に分泌物がたまってきている合図です。

③肛門腺絞りに役立つアイテム

肛門腺の分泌物のニオイはきつく、体や服についてしまうとなかなか落ちません。自宅で肛門腺を絞るときは、慣れるまでお風呂場などの掃除のしやすい場所で行ってください。

肛門腺絞りをしないとどうなる?

肛門腺が自力で出せず、肛門腺絞りもしなかった場合、肛門嚢にたまった分泌物のせいで炎症を起こします。さらに細菌が感染すると化膿し、最悪の場合、皮膚が破れ自壊します。

炎症が起こっている状態を「肛門嚢炎」、
さらに悪化して皮膚が破けると「肛門嚢破裂」と呼び、痛みと出血を伴います。

時折、未避妊のメスで「お尻付近からの出血=生理」と勘違いする飼い主さんもおられますが、出血点を見れば一目瞭然です。
また肛門嚢が自壊した場合、犬はお尻周りを触られることを嫌がりますので、普段と行動が違うと感じると思います。

肛門腺が破裂した場合の治療法

肛門腺が破裂した場合、肛門の横に穴が開き出血します。

そのまま放置していると、細菌が繁殖し、痛みと炎症がひどくなりますので、必ず動物病院へ受診してください。

その際、動物病院で肛門腺の分泌物を絞り出し、消毒毛刈り注射(抗生剤・消炎剤)を打った後は、自宅で抗生剤の軟膏を塗ってもらうことになるでしょう。

多くの場合、穴が開いているからと言って皮膚を縫い合わせる必要はなく犬自身の治癒力で傷口を治していきます。

もちろん治癒するまで痛みはありますが、破裂し分泌物がなくなったほうが痛みや違和感は少ないといわれています。(破裂時の痛みは除く)

犬の肛門腺とは?

犬の肛門の周囲には、1対の袋「肛門嚢(こうもんのう)」があります。

その袋の中に、においのキツイ分泌物を出す肛門腺(こうもんせん)が開口しており、この分泌物を肛門嚢に貯めています。

肛門腺から出る分泌物を「肛門嚢液」や「肛門腺液」と呼びますが、一般的に肛門嚢を絞るときは『肛門腺絞り』と言います。

通常、犬が排便するときに肛門腺が圧迫されて、ウンチと一緒に分泌されます。

肛門腺の位置

肛門腺は、画像のように犬の肛門の左右、4時と8時方向に位置しています。

この位置に肛門腺からの分泌物をためている肛門嚢という袋があり、ウンチが肛門から出るときの刺激(圧迫)で分泌物も一緒に排泄されます。

犬の肛門腺の役割

犬の肛門腺から出る分泌物は、人の指紋のように犬それぞれでニオイが異なり、犬同士の情報交換(あいさつ、マーキング)につかわれています。

散歩中に犬同士が出会うと、お尻のにおいを嗅いでいるのを見たことありませんか?

その時、「お尻のにおい⇒肛門腺のにおい⇒その犬の情報」という流れで、相手を知ろうとしているのです。

人は80%以上の情報を視覚に頼っていますが、

犬は優れた嗅覚をもち、情報の大部分をにおい(嗅覚)から得ています。
散歩中に犬のおしっこの跡を見つけると、においを嗅ぎに行くことは相手を知ろうとしているからであって異常行動というわけではありません。

愛犬が、見ず知らずの犬のおしっこやウンチのにおいを嗅ぎに行くのをうれしいと思う飼い主さんはいないでしょうが、無理矢理に引きはがす必要はないかもしれません。

肛門腺の分泌物の色や量、においは?

肛門腺からの分泌物には個体差があり、
こんな色でこんなニオイ、これくらいの量がでたら正常とは一概に言えませんが、

分泌物は以下のようなものが多いです。

  • 脂っぽい泥状のもの
  • サラサラとした液状のもの
  • ヨーグルトのようなクリーム状もの
赤や黄色や緑の分泌物が出てきた場合、細菌感染している可能性があるのですぐに動物病院を受診することをオススメします。

目安として、youtubeにあった動画をいくつか載せておきますね。

↑こちらのトイプーちゃんは、クリーム状の分泌物で、飼い主さんは鉄臭いとおっしゃっています。

↑ こちらのチワワちゃんも、クリーム状の分泌物ですね。
動画主さんのコメントでは、昔は「茶色っぽくてさらっとした感じ」だったそうですが、
加齢とともに粘り気が出てきたと書かれています。

↑ こちらのゴールデンレトリバーちゃんは、少し茶色の粘り気のある分泌物ですね

 

肛門腺の量に関しても、基本的にウンチと一緒に排泄されるため
なかなか測ることはできません。

ニオイに関しては、以下のような表現がされます。

  • 魚の腐ったようなにおい
  • ブドウが腐ったようなにおい
  • 鉄のようなにおい

どんな臭い・色が異常なのか?というよりも、
普段からの肛門腺の分泌物の状態(色やニオイ、粘り)を知っておき、
写真や動画として残しておくと
変化があった時に、獣医さんに相談しやすいですよ。

肛門腺のたまる頻度

肛門腺のたまる頻度についても個体差があります。

常にウンチと一緒に排泄できる子は、肛門嚢にたまりすぎることはありません。

ただし、

肛門嚢自体が硬かったり、出口が狭い場合は十分に排泄されず、
肛門嚢がパンパンにたまることもあります。

そういった場合は2週間から1か月ほどでたまりますので、
ご自宅や動物病院で「肛門腺絞り」をする必要があります。

体の大きさや年齢で肛門腺のたまり具合は変わる?

一般的に、大型犬よりも
小型犬や中型犬、肥満体型の子や年を取った子のほうがたまりやすい傾向にあります。

高齢や肥満になると、
肛門周りの筋力も落ちてくるため肛門腺はたまりやすくなるのです。

しかし、小型犬だから肛門腺のケアが絶対必要、大型犬だから必要ないというわけではありません。

生まれつき肛門腺がでにくい子もいますので、
肛門の4時8時を触り、袋状のものがないか確認しましょう。
(肛門腺がたまっている場合はぷっくりとしたものが確認できると思います。)







食事と肛門腺の関係

肛門腺と食事の関係性については詳しくわかっていません。

しかし、肛門腺の分泌物の成分やウンチの硬さが関係していることは考えられます。

肛門腺液の成分は「脂質」と「タンパク質」

肛門腺は汗腺の一種である「アポクリン腺」から分泌されています。

このアポクリン腺は犬の体表にも開口しており、
脂質タンパク質を多く含んだ分泌物(皮脂)を出すため、
肛門腺でも同じような成分であることが考えられます。

人でも、脂っこい食事をとっていると、
ニキビができたり顔がテカテカと脂ぎった経験ありませんか?

それと同じで、皮脂の元となる脂分が多い食事は
肛門腺の分泌を多くすることが考えられます。

しかし、どれだけ肛門腺液が作られていても、うまく排泄されている分には問題はありません。

肛門腺の排泄には「うんちの硬さ」が関係する

肛門腺液は通常ウンチと一緒に排泄されます。

排泄時にウンチが圧迫することで肛門嚢にたまった分泌物を出すのですが、
定期的に下痢や軟便を繰り返す犬の場合、
十分に肛門嚢を圧迫することができないため、
分泌物がたまりやすい傾向にあります。

肛門腺がたまりやすい犬はウンチをほどよい固さにするために、
食物繊維の多く入った食事を与えるといいかもしれません。

犬の肛門周囲に起こる病気

①肛門嚢炎

肛門腺からの分泌物をためている袋(肛門嚢)に炎症が起きる病気。
肛門嚢自体が腫れあがり、分泌物の出口が狭まってしまい、肛門腺液が外に排泄できなくなる。

その結果、肛門嚢と肛門周囲の皮膚が自壊し痛みを伴う「肛門嚢破裂」を引き起こす。

この病気を起こさないために肛門腺がたまりやすい犬は、こまめに肛門腺を絞る必要がある。

②肛門周囲腺炎

肛門の周りには細かな分泌腺がたくさん点在しており、その分泌腺を肛門周囲腺と呼ぶ。

肛門周囲腺炎とは、この肛門周囲腺に炎症が起きている状態で、

  • 肛門周囲の赤みや腫れ
  • 排便困難
  • 肛門周囲からの悪臭

などの症状が出てきます。

一般的に未去勢のオスで多く、炎症の違和感から肛門をなめてしまい、症状が悪化する。

③肛門周囲腺種

男性ホルモンの影響を強く受ける肛門周囲の良性腫瘍で、高齢で未去勢のオスに多く発生する。良性とはいっても肛門の周囲にあるため排便を妨げたり、自壊した場合に痛みを伴います。

また去勢をすることで肛門周囲腺種のリスクを下げられるほか、すでにできている腫瘍も小さくなる可能性もあるため、去勢手術が推奨されます。

④肛門嚢アポクリン腺癌

肛門嚢内に開口しているアポクリン腺由来の腫瘍で、性別による発生傾向はなく、8~11歳ごろに多く見られる。
また、局所浸潤性が強く、転移しやすい性質を持ち、約50%の症例で初診時に既に転移がみられます。

  • 肛門周囲の腫大(特に4時と8時の位置)
  • 便秘やしぶり(便意があるのに出ない状態)
  • 便の形状変化(通常、平らになるかリボンのような形になる)
  • 多飲多尿(高カルシウム血症による)
  • 食欲不振

などのような症状が現れます。

治療には外科手術、放射線治療、化学療法が適応されます。

⑤会陰(えいん)ヘルニア

肛門周囲にある筋肉の隙間から臓器や脂肪が飛び出てしまう病気で、加齢による骨盤隔膜(会陰部)の筋肉が衰えることで発生します。両側性に発生することが多いが、片側性の場合もある。

飛び出ている臓器で症状が変わりますが、主に以下のような症状が起こります。

  • しぶり
  • 排便困難
  • 排尿困難

男性ホルモンの影響で筋肉が衰えると考えられており、未去勢の高齢犬での発生が多い病気です。

会陰ヘルニアを予防するために去勢手術が推奨されています。

⑥直腸脱

肛門括約筋の「衰え」と激しい「いきみ」で起こる症状で、排便時に力んだ際、腸が反転して肛門から出てくる。

通常、痛みはなく時間経過で腸がもとに戻ります。しかし脱出した腸が戻らず、直腸の粘膜がむき出しの状態でいると、最悪壊死してしまうので注意が必要です。

用手で腸を戻すことができない場合は手術が適応になります。

また、直腸脱を予防するため、ウンチを柔らかくするごはんやグリセリン浣腸を行い排便をスムーズにしてあげる必要があります。

まとめ:【犬の肛門腺の絞り方】頻度や色・においを解説!破裂する前にたまったサインを見つけよう

犬の肛門腺はきついニオイを出す分泌器官で主にコミュニケーションのために使われます。

しかし、現在の日本で飼育されている犬の半数以上は室内飼いされているため、肛門腺の分泌物を外に出す機会が減っています。

また、犬が家畜化された時から肛門腺を分泌する筋肉が徐々に衰えてきたため、分泌物がたまってしまう子もいます。その犬には「肛門腺を絞る」という行為が必要となってきますので、ご自宅または動物病院などでケアをしてあげましょう。

肛門腺の分泌物がたまりすぎた場合、炎症や細菌感染が起こり、最後には破裂して出血と痛みを伴う「肛門嚢破裂」を引き起こします。

犬の肛門腺のたまった「サイン」を見逃さないようにしましょう!

お尻を気にする行動を見かけたら要注意です。