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入浴雑学

溶けると入浴剤が香らないのはなぜ?匂いの原理と入浴中でも香らせる方法を紹介

こんにちは!管理人のクラゲです。

入浴剤を使った時、こんな経験したことないですか?

入浴剤の袋を開けたときはいい香りだったのに、お湯に溶かすと全然香りがしないわ。

いろんな香り成分が入っているのに、
肝心の入浴中に香りを感じられない。

これは、人が香りを感じる仕組みを
理解していれば当然のことなのですが、

入浴中に香らない入浴剤ってなんだか残念な気持ちになっちゃいますよね。

ですがご安心ください。

お湯に溶かすと香りが極端に薄くなる入浴剤でも
香りを出す方法はいくつかあります。

今回は、入浴剤の香りに焦点を合わせ、

この記事でわかること
  • 入浴剤が香り仕組み
  • お湯に溶かすと入浴剤の香りが消える理由
  • お湯に溶かしても入浴剤の香りを残す方法

についてご紹介していきます。

この記事が少しでもお役に立てたのなら幸いです。

お湯に溶かした入浴剤でも香らせることは可能

まずは、この記事の結論。

お湯に溶かすと消えてしまう入浴剤の香りですが、
この記事で紹介する4つの方法を使えば、
入浴中や湯上り時でも、香り立たせることができます。

その方法について、香りの仕組みから順序だてて説明していきますね。

説明が不要という場合は、
目次から「お湯に溶けた入浴剤の香りを立て・残す方法は?」の見出しに飛んで下さい。

入浴剤が香る仕組み

ここからは、

  • 香料
  • 香り分子(におい分子)
  • 嗅覚

というキーワードを使い
入浴剤が香る仕組みについて説明していきます。

入浴剤には香料が入っている

香料は一般的に、

  • いろいろな植物や一部の動物から抽出された「天然香料」
  • 化学的に合成された「合成香料」

をブレンドして調合され、

  1. 食品に香りと味の一部を付与する「食品添加物(フレーバー)
  2. 食品以外のものに香りを付ける「フレグランス(香粧品香料)

の2つに大別されます。

当たり前のことですが、

入浴剤で色々な香りがするのは、
調合された香料(フレグランス)が入っているからです。

香るということは「香り分子が存在する」ということ

入浴剤には、フレグランスに当てはまる香料が使われ、
ブレンドされた香りを感じるのですが、

私たち人間が、匂いや香りを感じるには、
そこには香りのもととなる「香り分子(香り成分)」が存在するから。

しかし、

逆に、「におわない」という場合は
「香り分子がない」というわけではありません。

香り分子が鼻に入ると香りを感じる

香り分子があるだけでは香り感じません。

香りを感じるには、

  1. 呼吸によって香り分子を吸い込む
  2. 鼻の奥に約1000万個あるセンサー(嗅細胞)が香り分子を検知する
  3. 香りを検知したという電気信号を飛ばす
  4. 大脳で電気信号を受け取り香りを感じる

といういくつもの過程を踏む必要があるのです。

しかし、この過程のどこかで問題があると、

  • 香り分子が届かない
  • 香り分子を検知できない
  • 香り分子を検知した信号を送れない

ということが起こり
香りを感じなくなります。

お湯に溶かすと入浴剤の香りが消える理由

入浴剤で香りを感じるのは

  1. 入浴剤に香りのもととなる香料が含まれている
  2. 香料は香り分子で構成されている
  3. 香り分子が呼吸によって鼻に入る
  4. 鼻で香り分子を検知し脳へ信号を送る
  5. 大脳で香りを感じる

という過程を踏む必要があるのですが、

入浴剤をお湯に溶かすとなぜ香りを感じにくくなるのでしょうか?

その理由についてみていきましょう

香り分子は揮発成分

香りの元となる香り分子は
呼吸によって鼻に入るには「気体」になる必要があるため、

香料には常温で気体となる揮発性成分が用いられています。

そのため、入浴剤を開封した時

容器内で揮発していた香り分子が空気中に拡散し
呼吸することで鼻に入ると
いくつかの過程を経て、香りを感じるようになります。

入浴剤はお湯に溶けると香り分子が揮発できない

入浴剤に使われる香料は常温で気体となる揮発性成分ですが

お湯に溶かすと、水の分子が邪魔をして
香料(香り分子)が空気中に拡散できなくなります。

※これには、香り成分の性質(親油性、親水性)が関わり、親油性であれば時間が経つと水と分離し、香り成分は水面に浮かび上がり揮発しやすくなる

そのため、入浴剤の香りが消えたように感じるのですが、

全く揮発できないわけではなく、

香り分子が水面で空気と接したときには
空気中に揮発していくため
ほんのりと香る程度には入浴剤の香りを感じることはできます。

 

ではどうすれば、お湯に溶かした入浴剤の香りを
感じることができるようになるでしょうか?

そのカギは「香水」と「温泉地」にあります。

液体でも香水が香るのは4つの理由がある

香水は、お湯に溶けた入浴剤と同じく
香り分子が液体に囲まれた形で存在します。

しかし、

香水は液体のままでも香るのに対し
お湯に溶けた入浴剤はほとんど香りを感じません。

その違いはどこにあるかというと、

  • 溶媒:香り分子が溶け込んでいる液体
  • 濃度:香り分子の濃さ
  • 性質:香り成分が親油性(脂溶性)か親水性(水溶性)か
  • 使い方:使用方法

の4つが関係してきます。

香水の場合、

入浴剤に含まれる香料よりも濃度が高く、
水よりも沸点の低いアルコールに溶け込んでいるため
香り成分が揮発しやすい状態にあり、

さらに、霧状にして散布することで
空気と触れる面積が増え、揮発する量も多くなるため
お湯に溶けた入浴剤よりもよく香るのです。

そのため、香水と同じような条件

  • 入浴剤の濃度を高くする
  • 空気に触れる機会を増やす

にすることで、
お湯に溶けた入浴剤でも香りを立たせることが可能となります。

また、香り成分の性質も重要。

油に溶ける「親油性」なのか、水に溶ける「親水性」なのかで
液体からの揮発性も変わってきます。

身近な香り成分のほとんどは親油性なので
水に混ぜて溶かしたとしても、
時間が経てば水と香り成分に分離します。
香水などに使われる精油も親油性

食品の香り成分ではありますが
以下に香りの性質表を参考として載せておきます。

香気成分表

画像引用:あまから手帖

温泉地でイオウの臭いがするのは源泉が高温だから

液体である香水は
「溶媒」「濃度」「使い方」の3つのポイントによって
お湯に溶けた入浴剤よりも香り立つのですが、

温泉地に行くと、イオウの香りを感じることが多くありませんか?

イオウの香りの元は「硫化水素」ですが、

香水のようなアルコールではなく
入浴剤と同じように、お湯に溶けています。

それでもイオウの臭いを強く感じるは

硫化水素の濃度が高いこともありますが、
温泉が湧き出る源泉の温度が関係してきます。

というのも、

水(お湯)は100℃になると沸騰し
気体となることが知られていますが、

これは、100℃になると、
100%の水分子が気体になるだけで、

10℃でも、40℃でも、80℃でも
同じ気圧下であれば、一定の量が揮発していっているのです。

画像引用:SUNTORY

揮発する水分子の量は温度が高くなるほど増えるため、

温泉の場合、

源泉の温度が高いほど揮発する水分子が増え、
同時に水分子の穴を埋めるように
硫化水素が水面(空気)に接するため

揮発する硫化水素の量も多くなり
温泉地でイオウの臭いがするようになるのです。

そして、これはお湯に溶けた入浴剤でも同じことが言えます。

お湯に溶けた入浴剤の香りを立て・香りを残す方法

ここまで、お湯に溶かすと入浴剤の香りが消える理由と
お湯に溶かしても入浴剤の香りが残る条件に付いてお話してきました。

では、

ここからは具体的に、
「溶けた状態の入浴剤でも香りを立て・残す方法」についてご紹介していきます。

お風呂の温度を上げる

一般的にお風呂の温度は38~42℃ほど。

そのくらいの温度でも湯気が出るように、
常温でも一定の割合で水分子が揮発していきます。

水蒸気は気体湯気は液体

水分子が揮発すると水蒸気となり、
空気に触れ・冷やされると、

温度が下がって水蒸気から湯気に変わります。

揮発する水分子の量は、
お風呂のお湯の温度が高くなるほど多くなり、

揮発する水分子の穴を香り分子が埋めるため
香り分子が空気中に拡散していきます。

そのため、38℃のぬるま湯よりも

42℃の熱めのお湯の方が揮発する水分子が多くなるため
香り分子が空気と触れる機会も多くなり
香りを感じやすくなります。

お風呂の温度を上げすぎると、皮脂を落とし、皮膚にダメージとなるので、温度の上げすぎにご注意ください。

入浴剤の濃度を高める

お風呂の温度を上げれば、
お湯に溶けた入浴剤が揮発する機会が増え、
香りが立ちやすくなりますが、

それは、お湯に溶けている香料の量(濃度)も関係してきます。

同じお風呂温度でも、

香料の量が多いほど
香り分子が空気と接する機会が増えるため
入浴中に入浴剤の香りを感じることができます。

濃度を上げすぎれば、肌に刺激となる可能性もあるため、いきなり濃度を高くするのではなく、少しづつ上げるようにしてください。

お湯に溶けた入浴剤が空気に触れる頻度を増やす

お風呂の温度を高くしたり
入浴剤の濃度を高くしなくても、

香料が空気と接する頻度を増やすことができれば
入浴中に入浴剤の香りを感じることができます。

香料が空気に触れる頻度を増やす方法としては

  1. 水しぶきを上げる
  2. 超音波式もしくは気化式の加湿器を使う

の2通りがあります。

入浴剤の溶けたお湯を洗面器ですくって湯船に落としたり、
手で水面をバシャバシャとすることで、

水分子に囲まれている香り分子が
空気と接する機会を増やすことができます。

とは言え、

水しぶきを上げるのも、労力がかかり面倒だと思います。

そんな時は、超音波式もしくは気化式の加湿器を使うのも一つの手。

どちらも過熱しない加湿器であるため
入浴剤成分が変性することもなく香り成分を気化させることができますが
注意点を理解の上、使用するようにして下さい。

  • 電気を使う加湿器の場合、お風呂場で使用すると故障する可能性がある他、湯船に落としてしまうと感電する危険性もあります。
  • 電気を使わない気化式の加湿器だと、入浴剤に含まれる香料が気化するまで時間がかかる
  • 超音波式の加湿器の場合、香料以外の入浴剤成分もミスト状にして空気中に拡散させるため、粘膜に触れると刺激となる可能性がある

上がり湯やシャワーをしない

入浴中に入浴剤の香りを感じなくても
体の表面には香り分子が付着しています。

その状態で、上がり湯やシャワーを浴びて
香り分子を洗い流してしまわなければ、

体の表面の水分が乾燥した時に
入浴剤の香り分子も揮発していくため
入浴後、自身の体から入浴剤の香りを感じることができます。

また、

濡れた体をタオルで拭ってしまうと
香り成分も取れてしまうため、

濡れた体にバスローブを巻いて
水分だけを吸い取る方が、香りを感じられるでしょう。

お湯に溶かすと入浴剤が香らない理由

ご覧いただきありがとうございました。

この記事のポイントは以下の通りです。

  • 入浴剤で香りを感じるには、香り分子が鼻に入り、鼻のセンサーで香り分子をキャッチ。脳へ香りの信号を送り、大脳でその信号を検知する必要がある。
  • 入浴剤をお湯に溶かすと香りを感じないのは、香り分子が水分子に邪魔されて揮発できないから
  • お湯に溶けた入浴剤の香りを立てるには、4つ方法がある

お湯に溶けても入浴剤の香りはなくなったわけではありません。

ちょっとした工夫を行えば、溶けた入浴剤の香りを感じることは容易です。

ただ、いくつか注意点もありますので

よく確認し、問題がない場合にのみ
この記事で紹介した方法をお試しください。

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