こんにちは!管理人のクラゲです。
ハッカ油を垂らしたお風呂って清涼感のあって
夏場はすごく心地いいですよね。
ですが、使い方や体験した人によっては
「ハッカ油の冷感・清涼感を感じなかった」
という方もおられると思います。
なぜハッカ油を使ったのに
冷感や清涼感の感じ方に差が生まれたのでしょうか?
この記事ではその理由について解説していきます。
- ハッカ油で感じる清涼感の正体と仕組み
- ハッカ油風呂で清涼感を感じない理由
- ハッカ油風呂で清涼感を感じる方法
お風呂・温泉・入浴剤が大好きなクラゲ。│ 過去100種を超える入浴剤を体験。│2022年1月「温泉ソムリエ」取得│Twitter・YouTubeでもお風呂・入浴剤情報を発信中│ ブログ収益を使って「温泉巡りの旅」を発信するのを目標にブログ運営をしています 。このブログがちょっとしたライフハックになれば幸いです。
【結論】ハッカ油は冷感センサーの活性化温度閾値を上げることでお風呂でも寒く・冷たく感じるようになるが、条件次第で「冷感の強さ」が変わる
この記事の結論をまとめると以下のようになります。
- ハッカ油に含まれる「メントール」が清涼感を生み出す
- メントールは体温を奪うのではなく人の冷感センサーに作用して常温でも冷たく感じる
- メントールは冷感だけでなく温感センサーにも作用する
- メントール(ハッカ油)は揮発性がある
- ハッカ油に体温を下げる効果はない
⇒揮発性のあるハッカ油(メントール)は、量・お風呂温度・時間経過などの条件次第で冷感の強さが変わる
ハッカ油に含まれるメントールが
人の冷感センサーを常温でも作動させるため
涼しい・冷たいと感じるようになるのですが、
メントールは常温でも揮発する結晶であるため
「お風呂温度が高い、入浴時間が長い」ほどに
冷感・清涼感が感じにくくなります。
また、ハッカ油を使う人の
- 体格(筋肉量・脂肪量)
- 平均体温
などの個人差によって体感温度がかわるため
ハッカ油の冷感を感じにくい方もおられます。
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ハッカ油で「寒い・冷たい・涼しい」と感じるメカニズム
ハッカ油を使うと
なぜ「冷たい・寒い」といった冷感を感じるのでしょうか?
それは薄荷に含まれる
「l-メントール」という成分が関わっています。
メントールとはミント類に含まれている清涼成分で
その含有量が一番多いクールミント(和種ハッカ)が
ハッカ油の原料に使われているのですが、
ミントの種類 | メントール含有量 |
クールミント(和種ハッカ) | 約70-90% |
ペパーミント(セイヨウハッカ) | 約50-60% |
スペアミント(オランダハッカ) | 含まれない |
どのような仕組みでメントールが作用して
冷感・清涼感が生まれるのか詳しく見ていきましょう。
人の冷感センサーは2種類
人は皮膚上に冷感センサーがあるため
「冷たい・寒い」と感じることができます。
この冷感センサーは「TRPチャネル」と呼ばれる
細胞膜上にあるイオンチャネル型受容体で
刺激を感知して電気信号に変換する役割があり
この電気信号が感覚神経を伝わって
脳に届くことで冷感を感じとることができるのです。
そんな温度センサーの役割がある
TPRチャネルは6種類ほどが知られており
温度受容に関わる分子として,哺乳類では6つの TRP チャネル;TRPV1(VR1),TRPV2(VRL-1),TRPV3,TRPV4,TRPM8(CMR1),TRPA1(ANKTM1)
が知られており,それぞれに活性化温度閾値が存在する
現在わかっている冷感センサーは
「TRPM8」と「TRPA1」の2つです。
- TRPM8:25~28℃の温度で活性化
- TRPA1:17℃以下の低温で活性化
※活性化すると冷感を感じる
この冷感センサーにメントールが作用することで
冷感を感じやすくなるのです。
画像引用:マンダム
ハッカ油は冷感センサーの活性化温度域値を上げる
ハッカ油に含まれるメントールは
人の冷感センサー「TRPM8」と「TRPA1」
に作用することがわかっています。
メントールが作用すると
TRPM8の「活性化温度閾値」を上げることで
常温に近い温度(30℃)でもチャネルが開き、
少しの風が当たることでも冷感を感じるようになります。
また、
メントールは「TRPA1」にも作用するため
高濃度・大量のメントールに触れてしまうと
「冷たい」ではなく「痛み」に変わるため注意が必要です。
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ハッカ油風呂は効果ない?寒くも涼しくも感じない6つの原因・理由
ハッカ油を使うと冷たく涼しいと感じるのは
冷感センサーであるTRPチャネルの
活性化温度閾値を上げるためですが、
人によってはハッカ油風呂をしても
「冷感・清涼感を感じたことがない」
という人もいます。
ここでハッカ油風呂をしても
冷感を感じられない原因・理由を6つ紹介しますね。
- ハッカ油自体に体温を下げる効果はない
- お風呂に入れるハッカ油量が少なすぎる
- お風呂温度が高いと「温感」が優先される
- 入浴時間が長すぎてハッカ油が揮発してしまった
- 体格・体質・病気によって冷感の感じやすさが変わる
- ハッカ油を入れすぎると「痛み」に変わる
①ハッカ油には体温を下げる効果はない
ハッカ油に含まれるメントールに
体を冷やす(体温を下げる)効果はありません。
ハッカ油が揮発するときの気化熱で
多少の「熱」は奪われますがそれも一時的です
ハッカ油風呂にしてしまうと
お湯で希釈されたり、お風呂温度もあるので
冷感を感じにくい場合があるのです。
②お風呂に入れたハッカ油量が少なすぎる
一般的にハッカ油風呂に使う
ハッカ油の適量は5滴くらいといわれていますが、
お風呂環境や入浴条件などで適量は変わるので
お風呂に垂らすハッカ油の量が少なすぎると
冷感を感じにくい場合があります。
香り自体は1滴でも10滴でも
それほど変わらないので
冷感が物足りないなら
ハッカ油を1滴ずつ追加してみてください。
>>>「ハッカ油風呂で使うハッカ油の適量」
③お風呂温度が高いと「温感」が優先される
ハッカ油に含まれるメントールが
人の冷感センサー「TRPM8」や「TRPA1」
に作用することで、
30℃くらいでも清涼感を感じるのですが、
TRPM8が外向き整流性をもつ Ca2+透過性の高い非選択性陽イオンチャネルであることが明らかとなり,8~28度の冷刺激で活性化することが判明した. もう1つの刺激であるメントールにより,活性化温度閾値の25度から30度への上昇(より高い温度で冷たいと感じることになる)と活性化電流の増大が観察された
言い換えれば、
30℃より温度の高いお風呂だと
メントールが作用しても
TRPM8チャネルは活性化しないということ。
また、
メントールは32~39℃以上の温度で活性化する
温刺激受容体「TRPV3」にも作用するため、
お風呂温度によっては温感の方が強く出てしまい
冷感を感じにくくなってしまうのです。
ハッカ油・メントールともに揮発性があることも
ハッカ油風呂で冷感を感じない理由の一つです。
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④入浴時間が長すぎてハッカ油が揮発してしまった
ハッカ油もメントールも揮発性の物質です。
ハッカ油は常温で気化していきますし
メントールは結晶でも42~45℃で昇華してしまうため
※昇華:固体から直接気体になること
以下のような場合は
- お風呂温度が42℃以上
- 入浴時間が長い
- お風呂にハッカ油を垂らしてから時間がたっている
ハッカ油自体が揮発してしまっているため
冷感も清涼感も感じることはできません
⑤体格・体質・病気によって冷感の感じやすさが変わる
ハッカ油に含まれるメントールの効果は
体格・体質・病気の有無でも
冷感の感じ方が変わってきます。
- 筋肉量が多い(熱の産生能力が高い。体温が高い)
- 脂肪量が多い(脂肪は熱を閉じ込め冷ましにくい)
- 温度感覚異常を引き起こす神経系の病気・怪我がある(冷感刺激が脳に伝わらない)
※ハッカ油がつく部位によっても冷感の感じ方は変わってくる
そのため、
一般的に筋肉量・脂肪量が多い男性の方が
女性よりもハッカ油の冷感を感じにくい傾向があります。
⑥ハッカ油を入れすぎると「痛み」に変わる
最後に、ハッカ油風呂に入って
冷感よりも「痛み」が強いのでしたら
ハッカ油を入れすぎています。
ハッカ油に含まれるメントールが高濃度だと
冷感センサーである「TRPA1」に作用し
痛み・しみるなどの不快な刺激感が生まれることがわかっています。
メントールは清涼感を感知する受容体(TRPM8)だけでなく、このTRPA1を活性化することが報告されており、人によっては清涼感だけでなく、痛みやしみる感覚など不快な刺激感が生じます。
引用:ロート製薬
「冷感を感じないけど痛みは感じる」という場合は
ハッカ油量を減らしてみてください。
>>>「ハッカ油風呂で使うハッカ油の適量」
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ハッカ油風呂で清涼感を感じるための6つの方法
ここまでハッカ油の冷感の仕組みや
ハッカ油風呂で冷感を感じない原因を上げてきました。
ここからは誰でも簡単に
ハッカ油風呂で冷感・清涼感を感じる方法を
ご紹介していきます。
- お風呂温度を下げる
- ハッカ油量を増やす・減らす
- 入浴直前にハッカ油を入れる
- ボディソープやシャンプーにハッカ油を混ぜる
- お風呂上りにハッカ油スプレーを肌に吹きかける
- ハッカ油入りバスグッズを使う
①お風呂温度を下げる
ハッカ油風呂で冷感・清涼感を感じたいなら
お風呂温度を下げましょう。
ハッカ油に含まれるメントールの作用で
30℃ほどでも冷感を感じ取れるようになります。
そのため、
40℃以上の熱いお湯よりも
38℃くらいのぬるま湯or常温の水道水のように
低い温度でハッカ油風呂をすると冷感を感じやすくなります。
逆に温度を40℃以上にしてしまうと、
温感を感じやすくなるため
- メントールが温度刺激受容体である「TRPV3」に作用する
- ハッカ油の収れん作用で毛穴が収縮。保温効果が生まれる
使い方次第で
冬場でもハッカ油風呂に入ることは可能です。
②ハッカ油量を増やす・減らす
ハッカ油で冷感を感じない時、
ハッカ油の量が適切ではない可能性があります。
ハッカ油風呂で
- 痛みを感じるなら「量が多すぎ」
- 冷感を感じず、お風呂の温度で温かく感じるときは「量が少ない」
と考えられるので、
ちょうどいい冷感を感じ取れるように
ハッカ油の量を調節してください。
ハッカ油の適量が知りたい方は
以下の記事をご参考ください。
>>>「ハッカ油風呂で使うハッカ油の適量」
③入浴直前にハッカ油を入れる
ハッカ油は揮発性の高い液体です
ハッカ油を入れてから時間が経ってしまうと
そのほとんどは揮発してしまうので
メントールによる冷感も感じられなくなります。
そのため、
ハッカ油風呂に入る際は、
湯船に浸かる直前にハッカ油を垂らすことをオススメします。
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④ボディソープやシャンプーにハッカ油を混ぜる
ハッカ油風呂で冷感を感じるのもいいですが、
ボディソープやシャンプーに
ハッカ油を混ぜて使用することでも
清涼感や冷感を感じ取ることができます。
- ボディソープorシャンプー1~2プッシュを手の平に取る
- ボディソープorシャンプーにハッカ油を1滴たらす
- よく混ぜ合わせ、泡立ててる
- 身体・頭を洗う
※必ず自己責任の元で行って下さい
先にハッカ油を手に取ってしまうと
肌を刺激してしまうので
手に取ったボディソープorシャンプーに
ハッカ油を垂らすようにして下さい。
⑤お風呂上りにハッカ油スプレーを肌に吹きかける
清涼感をより感じたいなら
入浴した後に自作のハッカ油スプレーを
肌に吹きかけるのもオススメです。
【準備するもの】
- ハッカ油
- アルコールOKのスプレーボトル
- 精製水(水道水でもOK)
【作り方・使い方】
- 水100mlに対しハッカ油を10~20滴目安でスプレーボトルに入れる
- 入浴後、よく振ってから肌に吹きかける
(体を拭く前でも拭いた後でもok)
※必ず自己責任の元で行って下さい
作ってから時間が経つと
水とハッカ油に分離してしまうので
使用前にはよく振るか
水とハッカ油をなじませるために
水の1/10程度の無水エタノールを混ぜてもOKです。
基本的に冷暗所に保存し、
1週間以内に使いるようにしてください。
⑥ハッカ油入りバスグッズを使う
- ハッカ油の適量を探すのが面倒くさい
- ハッカ油を入れすぎて寒い・痛い思いをしたくない
というのでしたら、
ハッカ油・メントール入りのバスグッズがオススメです。
入浴剤やシャワージェルなどが販売されているので
お好みのものをお試しください。
寒くてたまらないハッカ油風呂に入りたいなら「お風呂温度を30℃以下」にしてみてね
茹だるような暑い夏場に
寒いくらいのハッカ油風呂を体験したいなら
以下のやり方を試してみてください。
- 「30℃以下のお湯」もしくは「常温の水道水」
- ハッカ油を数滴たらす
ハッカ油は1~3滴の少量から始め適宜調節。
※自己責任の元行ってください。
クーラーや扇風機を止めたくなるくらいの
寒いハッカ油風呂を体験できますよ。
「ハッカ油風呂は効果ない」まとめ
ご覧いただきありがとうございました。
この記事のポイントは以下の通りです。
- ハッカ油の冷感、清涼感はメントールによるもの
- メントールが冷感温度センサー「TRPM8」に作用することで、活性化温度閾値をあげ、30℃ほどの温度でも冷感を感じるようになる。
- メントールは、温度刺激センサー「TRPV3」も活性化させるため、お風呂温度が高くなるほど温感を感じるようになる。
- ハッカ油風呂で冷感を感じない原因には、特にお風呂温度や入浴時間が関係する。
- ハッカ油風呂で冷感を感じたいなら、お風呂温度を下げ、ハッカ油量を増やせばいいが、ハッカ油量が多すぎると痛みに変わるので注意
ハッカ油風呂で暑い夏を乗り切りましょう
ただし、
ハッカ油やメントールで冷感を感じても
実際は汗が出づらくなって体に熱がこもるため
熱中症リスクはあるのでご注意ください。