こんにちは!管理人のクラゲです。
そんな疑問・お悩みを解決するために
この記事では月ごとの薬湯「季節湯」を12か月分ご紹介していきます。
- 季節湯とはどんなお風呂か
- 月ごとの季節湯一覧
- 季節湯の作り方や効能、代わりにできる入浴剤
季節湯というと
多くの人は「知らない。どんなお風呂なの?」と
自分は入ったことがないというのですが、
実は知らず知らずのうちに入っているんです。
多くの人は季節湯の存在すら知らないのに
実際多くの人が体験しているお風呂。それが季節湯です。
この記事で季節湯について知ってみてください。
季節湯とはどんなお風呂?由来や歴史
まずは季節湯とはどんなお風呂なのか
その由来や歴史、意味を見ていきましょう。
季節湯とは月ごとの旬の植物を使った薬湯を指し
その植物の効能を得るため
平安時代に空海が医療用の薬湯として設けたことが始まりとされています。
平安時代は病気や怪我の治療に
- 医術:医術を行うものが「医師(くすし)」
- 呪術:呪術を行うものが「験者(けんざ)と陰陽師」
の2つを使って治療していたとされています。
この時代の呪術は現代で言われる
”呪い”ではなく「神仏の力を借りること」を指し
呪術を扱う験者とは僧侶の一種で、
特に知識や技術に優れていた人たちのことをいいました。
空海が験者だったかはわかりませんが、
ただ、医療の一端を「僧」が担っていたことが
季節湯が誕生するきっかけになったのかもしれませんね
平安時代に空海が始めた季節湯ですが
一般に広まったのは銭湯文化の発展した「江戸時代」と言われています。
その後、一般家庭にもお風呂が普及し
現代まで季節湯が受け継がれてきているのです。
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【季節湯の種類一覧】意味や効能・作り方や代替入浴剤
では1~12月まで計12種ある季節湯を一つ一つ見ていきましょう。
- 1月:松湯
- 2月:大根風呂
- 3月:ヨモギ風呂
- 4月:桜湯
- 5月:菖蒲湯
- 6月:ドクダミ湯
- 7月:もも湯
- 8月:ハッカ湯
- 9月:菊湯
- 10月:生姜湯
- 11月:みかん風呂
- 12月:柚子風呂
1月の季節湯「松湯」
1月の季節湯は松の葉を使った「松湯」です。
なぜ松を使うかというと、
- 松は神様が降臨する場所「神の依り代」として神聖視される
- 松は「長寿・不変・守節」の象徴
- 花言葉は「不老長寿」「永遠の若さ」
↑のような理由があり、
神も宿る神聖な植物「松」を使うことで
その年1年の心身の無事を祈願する意味があると考えられています。
そんな松湯の効果効能は以下の通り。
- 鎮痛、強壮、血行促進作用
- 肩こりの解消
- 関節痛や腰痛、神経痛やリウマチの緩和
- 疲労回復・ストレス解消
- 風邪予防
- 安眠・快眠
- 冷え性予防・解消
松湯は松の葉さえ手に入れば
それほど手間もかからず作ることができますが、
準備が手間な場合は入浴剤がオススメです。
⇒松湯の作り方はこちら
2月の季節湯「大根風呂」
2月の季節湯は大根の葉を使った「大根風呂」です。
なぜ大根の葉を使うかというと
- 大根の旬が11~3月(品種による)
- 冬場の食料にするために大根を干していた
- 昔から冷え性や婦人病治療のための民間療法に使われた
- 大根自体が縁起物。漢名で「莱菔」とも書き「来福」に通じるといわれる
↑のような理由があり、
大根を使ってお風呂に入ることで
寒さ厳しい2月も健康に過ごせるようにする意味合いがあったと考えられます。
そんな大根風呂の効果効能は以下の通り。
- 全身の血行促進、保温効果
- 冷え性の改善
- 肩こり、腰痛、頭痛、関節痛の改善
- 皮膚病の改善
- 風邪予防
大根風呂は葉さえ手に入れば
誰でも簡単に作ることができますが、
準備が手間な場合は入浴剤がオススメです。
⇒大根風呂の作り方はこちら
3月の季節湯「ヨモギ風呂」
3月の季節湯はヨモギを使った「ヨモギ風呂」です。
なぜヨモギを使うかというと
- ヨモギの旬が3~5月
- 日本各地に自生している身近な植物
- 昔から医療用の薬草に使われてきた
- 花言葉は「幸福、平和、平穏」
- ひな祭りや端午の節句にも使われる
↑のような理由があり、
ヨモギを使ってお風呂に入ることで
邪気を払い、健康と幸福を願う理由もあったと考えられます。
そんなヨモギ風呂の効果効能は以下の通り。
- 血行促進効果
- 肩こり・腰痛などの痛みの緩和
- 美肌効果
- 冷え性・むくみの改善
- 切り傷の殺菌作用
- ニキビ・汗疹の改善
- アトピー性皮膚炎の改善
- 婦人科系疾患の改善(生理痛の緩和・生理不順の改善など)
- 安眠効果・ストレス解消
ヨモギはその辺の道端でも手に入るため
ヨモギ風呂自体は誰ても簡単に作ることができます。
ただそれでも準備が手間な場合は入浴剤を使うといいでしょう。
⇒ヨモギ風呂の作り方はこちら
4月の季節湯「桜湯」
4月の季節湯は桜の樹皮or葉を使った「桜湯」です。
なぜ桜の花ではなく樹皮を使うかというと
詳しい由来はわかりませんでしたが、
- 4月は桜が咲くシーズン
- 桜の薬効は花びらではなく「桜の木の樹皮」もしくは「桜の葉」にある
- ”毒消しの薬”として解毒、鎮咳去痰剤などの生薬に使われた
- 銭湯文化が広がったのは江戸時代。花見が広まったのも江戸時代
↑のような理由があり、
花見以外に桜を堪能する方法として
桜を季節湯に使うようになったのかもしれません。
そんな桜湯の効果効能は以下の通り。
- 疲労回復効果
- 皮膚疾患(ニキビや湿疹、蕁麻疹など)の予防、改善
- 打ち身や打撲の緩和
- 安眠、快眠効果(不眠症の改善)
- 風邪の予防
- 美肌効果
桜湯を作るために
公園など公共の場に植えられている桜から
樹皮や葉、花をとることは「器物損壊罪」または
「窃盗罪」にあたり処罰されてしまいます。
なので自宅で桜湯をする場合は
入浴剤を使うことをオススメします。
⇒桜湯の作り方はこちら
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5月の季節湯「菖蒲湯」
5月の季節湯は菖蒲の葉や根を使った「菖蒲湯(しょうぶゆ)」です。
なぜ数ある5月の旬の植物の中から
菖蒲を使うかというと、
- 菖蒲自体の開花時期が5月
- 根は「白菖、菖蒲根」という漢方薬として利用される
- 葉は独特の爽やかないい香りがする
- 菖蒲の成分には薬効がある
- 菖蒲は古くから魔除けや厄払いに使われてきた
- 中国から「邪気を払うため菖蒲を玄関に飾る」と「蘭湯に入り身を清める「浴蘭節(よくらんせつ)」という2つの風習が伝わった
などの理由がある他、
菖蒲の葉自体が剣(刀)に似ていることから
「たくましい男の子に成長してほしい」
という願いが込められ、
主に、男の子の成長を祝う
5月5日の「子どもの日」に
菖蒲湯に入る習慣が浸透していったそうです。
そんな菖蒲湯の効果効能は以下の通り。
- リラックス作用
- 血行促進効果
- 肩こりや腰痛予防
- 冷え性の改善
- 筋肉痛の改善
- 肌の保湿作用
菖蒲の葉は子どもの日に近づくと
スーパーなどで売られるようになるため
菖蒲湯自体は意外と簡単に作ることができます。
ただ菖蒲の葉を使うと
草かぶれを起こすこともあるため
肌の弱いお子さんと入る場合は入浴剤の方がいいでしょう。
⇒菖蒲湯の作り方はこちら
6月の季節湯「ドクダミ湯」
6月の季節湯はどくだみを使った「ドクダミ湯」です。
なぜドクダミを使うかというと、
- 5~7月に白い花を咲かせる(花が咲くころが一番薬効が高い)
- いたるところに自生し簡単に手に入る
- 十薬(じゅうやく)という異名がある「10の効果をもつ薬草」
などの理由があり
殺菌・抗菌効果や皮膚トラブルを解消する
ドクダミの薬効に期待し
古くからドクダミ湯がされてきたようです。
そんなドクダミ湯の効果効能は以下の通り。
- あせもや湿疹、吹き出物や水虫の改善
- 利尿作用
- 脂肪の吸収を抑制する効果
- 高血圧の予防
ドクダミは公園や道端に普通に生えていて
誰でも簡単に手に入りますが
ただお風呂に入れればいいわけではありません。
ドクダミの薬効をお湯に溶かすためには
ひと手間加える必要があるのですが、
その手間を省きたいのであれば
やはり入浴剤を使う方がいいでしょう。
⇒ドクダミ湯の作り方はこちら
7月の季節湯「もも湯」
7月の季節湯はももの葉を使った「もも湯」です。
なぜももの葉を使うかというと、
- 桃の旬が7~8月
- 桃は実・葉・種・花と実り茂るすべての部位に栄養や効果のある成分が含まれている捨てる部分がない優れた植物
- 花言葉が「不老長寿、天下無敵、多福」
- 桃の葉には消炎、解熱作用があり汗疹や虫刺されに効果的
などの理由があり
暑気払いの意味を含めて
「夏の土用の日」に桃湯に入る習慣ができたそうです。
そんなもも湯の効果効能は以下の通り。
- あせも
- 肌荒れ
- 湿疹
- 虫刺され
- ニキビ
- 日焼け後の肌の赤みの抑制
- 皮下脂肪や角質の分解
桃の葉自体は通販から購入できますが、
ただで手に入れるには農家さんとの
コネが必要になってしまうので、
もっと手軽にもも湯を楽しみたいなら
入浴剤を使うといいでしょう。
⇒もも湯の作り方はこちら
8月の季節湯「ハッカ湯」
8月の季節湯は清涼感のあるハッカを使った「ハッカ湯」です。
なぜハッカを使うかというと
- ハッカは繁殖力が強い
- 収穫時期は5~10月
- 冷感を生むメントールが多く含まれる
などの理由があり
特に夏の暑さを和らげる
メントールの冷感作用を期待して使われることが多いです。
ちなみにハッカには大きく3種がありますが、
その中でも清涼感の強い
「和種ハッカ(クールミント)」をハッカ湯に使います。
そんなハッカ湯の効果効能は以下の通り。
- 冷感の増強
- 湯冷め防止
- 発汗効果
- 夏バテ解消
- 冷房による冷え性改善
- 疲労回復
- リラックス効果によるストレス解消
- 覚醒効果
- 冷感による炎症鎮静効果
- 香りによる線毛の運動を活発にする効果
「ハッカ=冷感」とイメージが強いですが
メントールによる冷感で体温は下がらず、
また、メントールは温度次第で
冷感だけでなく「温感」も刺激するため
発汗作用や血管拡張作用もあり
ハッカ湯は冷え性の改善にも効果的です。
そんなハッカ湯の作り方はとても簡単。
生の薄荷を使ってもいいですが
ハッカ油をお風呂に入れるだけでもOK
もちろん入浴剤を使ってもいいでしょう。
⇒ハッカ湯の作り方はこちら
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9月の季節湯「菊湯」
9月の季節湯は菊を使った「菊湯」です。
なぜ菊を使うかというと
- 菊には邪気を払い、長寿の効能があるとされる
- 9月9日の「重陽の節句(菊の節句)」は様々な形で菊を使い、長寿を願う行事
- 9月は夏から秋に切り替わる季節の変わり目。菊の精油成分が血行を促進し夏の疲れをほぐす効果が期待される
などの理由があり
体調が崩れやすい季節の変わり目で
無病息災や長寿を祈る意味もあるとされます。
そんな菊湯の効果効能は以下の通り。
- 血行や新陳代謝の促進
- 疲労回復
- 入浴後も続く保温効果
- 冷え性の予防、改善
- デトックス効果
- 神経痛やリウマチの緩和
- 腰痛の緩和
- ストレスの予防、改善
お花屋さんで買った菊の花を使えば
簡単に菊湯を作ることができますが、
面倒な場合は菊を使った入浴剤がオススメです。
⇒菊湯の作り方はこちら
10月の季節湯「生姜湯」
10月の季節湯は体を温める効果の高い生姜を使った「生姜湯」です。
なぜ生姜を使うかというと
詳しい理由はわかりませんでしたが、
- 生姜の旬は9~10月
- 辛味成分である「ジンゲロール」や香り成分である「シネオール」は新陳代謝を高め、体を温める効果、抗炎症作用により痛みを和らげる効果が期待できる
などの理由があり
寒暖差が大きくなる10月に
体の芯から温めて血行を良くする生姜が適していたのだと考えられます。
そんな生姜湯の効果効能は以下の通り。
- 入浴後も続く保温効果
- 発汗効果
- 夏バテ解消
- 体の冷えからくる症状改善(冷え性やむくみなど)
- 疲労回復
- 体の汚れを落とす清浄効果
- 皮膚炎によるかゆみ軽減
- 肩こり、腰痛、リウマチや神経痛等の痛みを和らげる鎮痛・抗炎症効果
生姜自体は誰でも簡単に手に入りますが、
生姜は「生」か「乾燥」かで
含有成分に変化が起こり効能が多少変化します。
目的とする効能に合わせて生姜湯の作り方を変えるといいでしょう。
⇒生姜湯の作り方はこちら
11月の季節湯「みかん風呂」
11月の季節湯は甘みと酸味を兼ね備えた
みかんを使った「みかん風呂」です。
なぜ11月の季節湯がみかん風呂なのか
詳しく調べてみたのですが、その由来はわかりませんでした。
おそらくですが、
- 現在一般に出回るみかん「温州蜜柑(ウンシュウミカン)」の旬が10月下旬~12月下旬であること
- 奈良時代から平安時代初期に中国から「柑子(コウジ)」というみかんの一種が渡来した
- 銭湯文化の始まった江戸時代(中期)から明治中期に「紀州みかん」が普及
などの事実・歴史があることから、
中国から伝わった柑子を使って
空海が季節湯を始めたのかもしれません。
ちなみにみかん風呂は
「身体がよく温まり、風邪を引かない」
という意味があるそうで、
「季節を肌で感じられる」と人気が出たため
庶民にも広く浸透し現代にまで受け継がれてきたようです。
そんなみかん風呂の効果効能は以下の通り。
- 乾燥肌の予防や老化予防
- リラックス効果
- 血流改善効果
- 湯冷め防止
現代ではミカンはいつでも手に入るので
簡単にみかん風呂を作ることができます。
ただ柑橘系のみかんをお風呂に入れると
肌にピリピリとした刺激を感じることがあるので
作り方にひと工夫する必要があります。
⇒みかん風呂の作り方はこちら
12月の季節湯「柚子風呂」
12月の季節湯は冬至の定番「柚子風呂」です。
なぜ柚子なのかというと、
- 柚子は奈良時代もしくは飛鳥時代に中国から渡来
- 柚子の旬は10~12月(収穫のピークは12月)
- 冬至はこれから日照時間が増える日であるため、太陽からの運を呼び込む前の厄払い
- 冬至→湯治(とうじ)、ゆず→融通(ゆうずう)をかけた語呂合わせから、お湯に入って融通良く行きましょう』という意味
- 「ゆず湯に入ると一年中風邪をひかない」という言い伝えがある
- 元々厄払いの禊(みそぎ)とされ、神道における水浴行為(不浄を取り除く祓(はらえ))の1種に考えられている
などの理由があり
銭湯文化の発展した江戸時代に一般に普及。
冬至に柚子風呂に入る習慣ができたといわれています。
そんな柚子風呂の効果効能は以下の通り。
- 乾燥肌の予防や老化予防
- リラックス効果
- 血流改善効果
- 湯冷め防止
柚子も柑橘系の果物であるため
お風呂に入れると肌がピリピリとすることがあります。
これは皮に含まれる香り成分が原因なので
刺激を感じたくないなら
柚子風呂のやり方にひと工夫する必要があります。
⇒柚子風呂の作り方はこちら
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季節湯一覧まとめ
ご覧いただきありがとうございました。
季節湯は知らないという方でも
入ったことのあるお風呂が1つ2つはあったのではないでしょうか?
ほとんどの季節湯は
自宅でも簡単に作ることができますし
入浴剤で代用してもOK。
季節湯を開催する銭湯や温泉も多いので
その時期に合わせた季節湯を体験してみて下さい。